「優しい彼」の知らない顔――抗えない快感への階段【26歳|女性】

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マッチングアプリで彼と出会ったとき、正直、かなり「当たり」だと思ったんです。

名前は健斗さん(仮名)。
3歳上の彼は、清潔感があって、話し方も穏やかで、なんていうか……すごく安心できるタイプでした。  
看護師という仕事柄、日々いろんな感情の起伏に揉まれている私にとって、彼の落ち着いたトーンは、まるで心の避難所みたいに感じられたんです。

付き合い始めて数ヶ月。  
デートも順調で、夜を共にするのも、いつも温かくて優しい、理想的なセックスでした。  

「好きだよ」

「可愛いね」

って言葉と一緒に、大切に扱われている実感がずっとあった。

でも、変化は、ある金曜日の夜から始まりました。

いつものように彼の部屋で過ごしていたとき、彼がふと、冗談めかしたような、それでいて少しだけ熱を帯びた声で言ったんです。

「ねえ、もっと感覚を研ぎ澄ませてみたいと思わない?」

その時は、単なるプレイの提案だと思っていました。  


「もう、何がしたいのかな?」

彼の手が、私の視界を遮るように柔らかいシルクの布を差し出してきました。
目隠しをされることに、少しだけ心臓が跳ねました。

「……これ、してもいい?」

優しく、けれど拒絶を許さないような響きを含んだ問いかけ。
なるほどそう来たか。確かに見えないことで気持ちが昂るってこともあるって聞くし。
私は、少しだけ戸惑いながらも、

「……うん」と小さく頷いてしまいました。

視界が遮られた瞬間、ちょっとゾクゾクしました。
目が見えないだけで、彼の指先が肌をなぞる感覚が、何倍にも増幅されて襲ってくる。
耳元で聞こえる彼の呼吸音が、まるで巨大な生き物の唸り声のように響いて、
身体の奥がキュッと締まるのがわかりました。

それからの彼は、私が知っている「優しい健斗さん」ではありませんでした。

次に提案されたのは、手首を縛るための革製のバンドでした。  
「痛くない? 大丈夫?」と確認はしてくれるけれど、その瞳の奥には、獲物を観察するような鋭い光が宿っている。

拘束されているという事実は、私に強烈な無力感を与えました。  
看護師として、いつも自分で自分の身体をコントロールし、冷静に判断している私にとって、
「何もできない状態」は、本来なら少し怖いことのはずなんです。

でも、不思議でした。  
自由を奪われるたびに、私の内側にある「受動的な欲望」が、どんどん暴走していくのがわかるんです。

「……っ、あ……ちょっと、怖いかも……」

震える声でそう言ってみても、彼は止めてくれませんでした。  
むしろ、私が怯え、翻弄される様子を楽しむように、さらに執拗に、じわじわと感覚を追い詰めてくるんです。

痛みか、それとも快楽か。  その境界線が溶けていくような、激しい刺激。  
彼の手によってコントロールされる自分の身体が、まるで自分のものではないみたいに感じられて……。

ふと気づいたときには、私はもう、彼の命令に従うことしか考えられない状態になっていました。  「怖い」と思っているのに、体が「もっとしてほしい」と叫んでいる。  
そんな矛盾した自分に気づいて、恥ずかしくて、でもたまらなく興奮してしまう自分がいました。

彼が提案する新しい「調教」のステップは、日に日にエスカレートしていく感覚があります。  
それは、単なる性的なプレイというよりも、私の精神的な境界線を少しずつ踏み越えてくるような、そんな感覚。

今でも、彼と目が合うたびに、私は密かに思っています。
次に彼は、どんな方法で私を「壊して」くれるんだろうって。

たとえそれが、ちょっとだけ恐ろしい変化だったとしても。  
もう、逃げ出すつもりなんて、さらさらないんですけどね。はぁ、早く会いたいなぁ。

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