俺は都内のメーカーで営業をしている30歳。
仕事柄、いろんな人と会うけれど、どうしても忘れられない女性がいる。
取引先の企業の受付にいる、佐々木さん(仮名)のことだ。
いつも落ち着いたベージュやネイビーのタイトスカートを完璧に着こなし、艶やかな黒髪を後ろで綺麗にまとめていた。
小柄な体型だけど、制服越しでもわかるほど胸のラインが豊かで、それでいて立ち居振る舞いはどこまでも上品。
まさに「理想的な奥様」という佇まいで、社内の人間が彼女を見ても、誰もが「綺麗な人だな」と感心するような、そんな清楚な雰囲気を持っていた。
俺がその会社へ出張に行くたび、彼女はいつも穏やかな微笑みで迎えてくれた。
「お疲れ様です。今日も暑いですね」
なんて、事務的だけど温かみのある声を聞くのが、俺にとっての密かな楽しみになっていたんだ。
そんな関係が崩れたのは、半年前の雨の日だった。
その日の商談は長引き、俺が受付を通ろうとした時、彼女は少しだけ困ったような、それでいて寂しそうな顔をしていた。
「あ、あの……」と、彼女が小さく声を漏らしたんだ。
「何か、ありましたか?」
俺が尋ねると、彼女は俯きながら、
「いえ、ただ……あまりにも雨が激しくて。お仕事、大変ですね」
と言って、少しだけ濡れた髪を耳にかけた。
その瞬間、彼女の首筋から漂ってきたのは、いつも通りの石鹸のような清潔な香りと、それとは対照的な、どこか艶っぽい女性の匂いだった。
「大丈夫ですよ。すぐ止みますから」
そう言って笑った俺の視線が、無意識に彼女の潤んだ瞳に吸い寄せられる。
その時、彼女の指先が、資料を整理するふりをして、一瞬だけ俺の手の甲に触れた。
熱かった。ただの接触のはずなのに、心臓が嫌なほど大きく脈打つのを感じた。
「あ……すみません」
と慌てる彼女の頬が、ほんのりと赤らんでいたのを、俺は見逃さなかった。
その日は、商談が予定より早く終わり、俺は少しだけ余裕を持って会社を後にした。
ふと、受付に戻った時、彼女の様子がおかしかった。
いつもより少しだけ化粧が濃いような、あるいは視線が定まらないような、どこか落ち着かない様子。
「お疲れ様です……」
絞り出すような彼女の声に、俺は気づいてしまった。彼女もまた、俺のことを待っていたんじゃないかって。
その日の夜、俺はふらりと、彼女の会社に近いホテルのバーへ足を運んだ。
そこに、偶然か必然か、一人でグラスを傾ける彼女がいた。
「佐々木さん……?」
声をかけると、彼女は驚いたように目を見開いたが、すぐに諦めたような、深い溜息をついて俺を見つめた。
「……どうしてここに」という言葉とは裏腹に、彼女の瞳には熱い色が宿っていた。
「もう、止まらないんです。自分でも、どうしようもないんです……」
彼女のその呟きは、理性を捨て去る合図だった。
ホテルの一室に入り、ドアが閉まった瞬間の静寂。
背徳感と、抑えきれない期待が混ざり合い、俺の頭の中は真っ白になった。
部屋の照明を落とした薄暗い空間で、彼女の清楚な仮面が剥がれ落ちていくのを目の当たりにした。
「佐々木さん……」 名前を呼んで、俺は彼女の肩を引き寄せた。
唇が重なった瞬間、彼女は抵抗することなく、むしろ貪るように俺の舌を受け入れてきた。
さっきまでの控えめな態度はどこへ行ったのか、彼女の手は俺のシャツを力強く掴み、引き寄せてくる。
「んっ……ふぁ……」
彼女の口から漏れる声は、昼間のオフィスでは絶対に聞けないような、甘く、掠れたものだった。
服を脱ぎ捨て、露わになった彼女の身体は、想像以上に美しかった。
白く滑らかな肌、形の良い胸、そして、少しだけ震えている太もも。
俺が指先でその柔らかな膨らみに触れると、彼女はビクッと肩を跳ねさせ、
「あぁっ……」
と、切実な吐息を漏らした。
鼻腔を突くのは、彼女自身の濃厚な雌の匂い。
嗅覚が狂いそうになる。
「もっと……激しくして、いいですか?」
俺の問いに、彼女は潤んだ瞳で頷き、
「……お願い……っ」
と懇願するように答えた。
仰向けになった彼女の上に乗ると、彼女の細い指が俺の背中に食い込むのがわかった。
結合した瞬間、彼女は大きくのけ反り、喉の奥から絞り出すような声を上げた。
「あ、あああっ! すごい……っ、そんな……!」
視界が揺れるほどの快感。
彼女の身体は、俺の動きに合わせて波打ち、まるで熱い生き物のように俺を締め付ける。
体位を変え、彼女を四つん這いにさせると、背中から見える曲線がたまらなく官能的だった。
後ろから深く突き入れるたび、彼女はシーツを掴み、激しく腰を振って応えてくる。
「ダメ……っ、いっちゃう……!」
と泣きそうな声を上げながらも、その身体は俺の熱を求めて、さらに深く沈み込んでいく。
クライマックスが近づくにつれ、部屋には二人の荒い呼吸音と、肌がぶつかり合う湿った音だけが響いた。
彼女の瞳は虚空を見つめ、意識が混濁しているようだった。
俺も限界だった。彼女の奥深くで、熱い塊が弾ける瞬間、彼女もまた、全身を弓なりに反らせて絶頂へと駆け上がっていった。
嵐のような時間が過ぎ、静まり返った部屋。
隣で眠る彼女の寝顔を見ながら、俺は窓の外の夜景を眺めていた。
少し前までの「清楚な受付嬢」とは別人、まるで別の魂が宿っていたかのような、あの艶やかな表情。
翌朝、彼女はいつものように完璧なメイクをし、落ち着いた微笑みで俺に「お疲れ様でした」と言った。
けれど、すれ違いざまに一瞬だけ見せた、あの熱を帯びた視線。
それだけで、すべてが伝わってくる。
今でも出張のたびに、俺は彼女の会社へ行く。 それは単なる仕事のためじゃない。
次にあの「仮面」が剥がれる瞬間を、俺自身も待ち望んでいるからだ。
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